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従業員へ売却する場合の注意点

近年は、経営戦略としてM&Aを利用し、会社の売却を実施する企業が増えています。現実に、後継者不在などの場合に、M&Aを利用し、全国から買い手や後継者を探すことで、廃業を免れるケースも出てきています。今回は、会社をM&Aで他の会社へ売却するのではなく従業員に売却するケースを検討してみましょう。その場合の注意点をまとめていきます。

従業員への売却はむしろ要注意?

M&Aが事業承継に有効な手段だと認知される以前は、事業を継承するのは身内親族が一般的でした。しかし、時代は移り、親族内承継が少なくなってきています。その中で、従業員継承の割合は徐々に上昇傾向にあるようです。親族関係ほど近い間柄ではありませんが、売却側にとって近い存在の従業員に売却する場合、近いだけに見落ちしがちな注意点が潜んでいます。

M&Aでの事業承継なら決して起こり得ないことですが、売却相手が日頃自分のそばにいる従業員だと口約束を契約と同列に見なしがちです。大事な事業継承にもかかわらず、これは大きな問題です。また、近しい間だからこそ起こる問題点だとも言えます。売却する側、従業員双方、相手をよく知っていれば、倫理的にも「約束は守るべき」だということは十分承知のはず。近しい雇い主と従業員の間柄なら、ここに心情的なものもプラスされ、約束は揺るぎないもの「約束は守られる」に変化します。その結果、口約束は守られることが前提で物事を進めがちです。

売却する側も、話の流れの中で話が大きくなることや勢いで調子のいいことを言うこともあり得ます。それらの口約束だけで「約束は守られる」として話が進んでいくのは、大きな危険を伴い要注意です。従業員への事業継承の場合、売却以降がとても重要になってきます。口約束や勢いで売却を進めるのは極力避けるのが賢明と言えるでしょう。

従業員への売却はむしろ要注意?1

身近な相手こそきちんとした契約を

「口約束」はそこに悪意が存在しなくても反故になることが多く、何の拘束力も持ちません。最初に、契約と約束は違うということを肝に銘じましょう。また、たとえ親子、兄弟の間柄であっても、しっかりと文書に明記されていないとトラブルの原因になることは古今東西、周知の事実です。雇い主と従業員、近しい間柄だからこそ、関係を壊すような事態は避けたいものです。そのためには、口約束だけで売却を決めることや事業譲渡に必要な譲渡期日・譲渡価格・譲渡の条件を曖昧なままにしないことが重要です。

事業譲渡は、期日が変わるだけで、譲渡価格がまったく違ってくることもないわけではなく、口約束で進められることではありません。事業承継のノウハウに長けている専門家や仲介業者などを間に立てしっかりと契約を結びましょう。雇い主と従業員、信頼し合う同士であれば譲渡後もトラブルなく円滑な経営を続けることを願うのは当然です。会社やお店を従業員に売却する場合、いわゆる従業員継承では事業を譲った後に従業員が会社運営をスムーズに展開できるように手をつくしましょう。それには、情報を出し惜しみせず経営の弱点などもしっかりと伝え、むしろ弱点に関してアドバイスをする姿勢が必要です。従業員をはっきりと「買い手」とみなして接することが良い結果につながります。

従業員へ売却する場合の注意点2

譲渡後の注意点

従業員が事業継承した場合、よく知っている元従業員がトップに立つわけですから、社内での反発は少ないでしょう。また社外的にも受け入れやすいというメリットがあります。残された従業員からみても、新しい経営者自身が元従業員なら従業員への待遇が悪くなるということは考えにくく、不満も少ないと考えられます。元経営者側としても、信頼している部下が事業を引き継ぐわけですから、安心です。

しかし、デューデリジェンスがしっかりなされていなければ問題が浮上してもおかしくはありません。また、縁もゆかりもない会社に売却したのであれば起こらないことですが、従業員への事業継承だからこその問題点も想定されます。元従業員はそもそも事業の経験がないので、運営には支障が無くても税務や、取引先との契約、役所対応などには不慣れなです。この場合しばらくは売り手がサポートして上げる必要があるでしょう。また、従業員継承の場合、後継者の従業員に資金力がないことが多いため、どんなに円滑に事業継承が進んだ様に見えてもお互いに不満が現れることは多いようです。通常は譲渡価格を分割払いで支払うケースが多いため、譲渡後に元従業員から色々とリクエストをされるケースも出てきます。経営に関して、単にアドバイスが欲しい程度であれば問題はないのですが、契約になかったことや、金銭に関するを色々と要求される可能性も少なくはありません。その際には、情に流されることなく、しっかりと線引きをして誠実に対応しましょう。

まとめ

従業員継承を実施する場合、親しい間柄だからこそ、注意が必要だということをしっかりと念頭に置き、話を進めましょう。後継者となる従業員の資金不足などで、もしかすると、M&Aを利用して他の企業に売却するよりも難航するケースも出てきそうです。出来るだけ第三者を入れて、トラブルの際には客観的解決方法が見出せるような環境を整えておくことが重要で、早めに専門家や仲介業者に相談することをおすすめいたします。

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