M&Aで店舗を購入するのと普通に出店するのではどちらが得？

メリット

独自店舗を出店する際の最大のメリットは、すべてにおいて経営者の希望通りにできることが挙げられます。店舗のあらゆる決め事に経営者の意志が反映されるため、オリジナルのデザインで出店が可能です。独自のサービスを提供することができ、お店の内装外装、什器や備品に至るまで選択は自由です。コンセプトを考え、一から「理想の店」を作りたいという経営者には最適な方法と言えます。

次に挙げるメリットは、最適な投資が可能であるという点です。経営者のイメージの中で最適な広さやロケーションを選択できるということは、無駄な投資を減らすことにつながります。初期投資に絞ってフランチャイズ契約と比較してみるとわかりやすいかもしれません。フランチャイズ契約の場合、一定の広さの店舗面積や特殊な調理器具が必要なことが多く、店舗の内装なども決められているのが一般的です。そのため、保証金以外にも厨房設備や椅子、テーブルをそろえるなど、初期投資がかなり高額になりがちです。初期投資が少なければ少ないほど、利益率が高くなるのは当然ですので初期投資を抑えられるのは大きなメリットになります。

デメリット

独自店舗を出店する際の最大デメリットは、立ち上げの労力が非常にかかることです。客層や価格帯などを検討しどのようなお店にするか、コンセプト設定から始まり、物件を探し資金を調達し内外装の設計施工にとりかかる。これだけでも多くの時間と労力が費やされますが、お店で提供するメニューの開発や店舗で使用する機材や備品購入の準備。さらに、保健所や消防などへの届出や手続きが残っています。特に、物件探しは実際には思い通りにならないものです、理想のロケーションで理想の価格というのは現実はほとんどあり得ません。

無事に求人までたどり着いても店舗オペレーションが確立されていないためスタッフの業務効率が不安定です。品質にも不安が残り、一から店づくりを始めるわけですから売上の予測も根拠がなく大きなリスクを伴います。マーケティング手段が進んでいる現在でも個店の売上は大企業でも正確にできていないのが現状です。これらから、軌道に乗るまで時間がかかると想定され、この点は大きなデメリットと言えるでしょう。

メリット

M&Aで店舗を購入する際の最大のメリットは、経営者に立ち上げの労力がかからない点が挙げられます。M&Aの手法は「時間の買収」とも言われ、M&Aを活用すれば、何年もかけないと得られないレシピやマニュアル、ノウハウをすぐに手に入ることが可能です。立ち上げた時点で、店舗オペレーションは確立されているため、経営者の労力はあまり必要とされません。すぐに、売り上げが立てられることは大きなメリットになります。このように、M&Aで店舗を購入する際のメリットは、独自店舗を出店する際に挙げたデメリットとよく似ています。
次に、利益が出ていても出ていなくても、以前の実績売上が判明しているのは、事業のリスクを大きく減らすことを可能にします。利益が出ている店の引継であれば、いかに引継ぎ後従前の経営を維持するかに注力すべきですし、利益が出ていない場合でも、どの程度現状のサービスを引き上げれば、損益分岐を上回るというようなことを計算すれば売上を推定できるというのは大きなメリットです。

デメリット

M&Aで店舗を購入する際の最大のデメリットは投資にお金がかかる点です。現在、大きな利益が出ている案件であれば当然高額になりますし、将来性や魅力的な店舗も高額になるのは避けられません。また、高額になればなるほど回収するのに時間がかかることも事実です。ただし、譲渡後も優秀なスタッフが継続し、客足も継続できる見込みがあれば、デメリットと考える必要はなくなります。デューデリジェンスがしっかり実施されていれば、デメリットは最小限に抑えることが可能です。経営者がしっかりしたデューデリジェンスが実施できれば問題はないのですが、売手側がきちっと帳簿を付けていなければ不可能な場合も多いです。デューデリジェンスの実施は信頼できるM&A業者に相談することでデメリットの解消につながります。

今回は、独自店舗での出店とM&Aで店舗を購入する際のメリットとデメリットをみてきました。新規出店で理想の店を立ち上げたいという想いは、多くの経営者やオーナーに共通なものかと思います。しかし、自社のオリジナルの新規出店にこだわり、大きなリスクを背負うより、M&Aも視野に入れてみてはいかがでしょう。M&Aで店舗を購入した場合は、軌道に乗るのが早く長期的に利益が見込めるという大きなメリットがあります。新規出店の際は、M&Aでの店舗購入は一考の価値がありそうです。